練習
練習について(負のフィードバック・システム)
2003.6.21

改善あるいは修正の最も基本的な戦略は、負のフィードバック・システムを作ることだと思います。負のフィードバック・システムが構成できれば、出力機構(ダンスの場合これは自分の体ということになります)の機能が相当劣っていても、多くの場合目標に近づくことができます。少なくとも理論的には。

しかし、実際やって見るとなかなかうまくいきません。まず一番肝心なのは適切な目標を設定することだと思うのですが、まずこれが難しい。よい指導者が必要な所以です。表面的な見えを目標に選ぶと、出力機構に大きく影響を受けるため、その性能や形によっては、フィードバック・システムが成立しないこともあります。よい指導者は、出力機構の性能や形によらない目標を与えてくれます。

目標とともに大切なのはセンサーです。よい指導者は、どの感覚に最も意識を集中すべきかも教えてくれます。

指導者に頼らず、自分で適切な目標と適切なセンサーを見つけるのは、とても難しいことです。理論書は多少それを助けてくれますが、多くの生きた見本は、自分に比べとても高性能な出力機構を持っているので、それを参考にして負のフィードバック・システムが成立するような目標を探し出すのは容易なことではありません。

差を測る/修正する
2003.6.23

適切な最終目標と適切なセンサーがあれば、あとはその差を測りながら自分で練習をすることもできます。出力機構の性能が大いに違っていても、目標に近づくのに要する時間が違うだけのことです。

とはいえ、少しでも早く目標に近づきたいと思うのが人情というもの。そこで差をどうとらえ、どう修正するべきかという戦略の問題が生じます。場合によっては、目標の細分化が有効な場合もあるでしょう。

実験室の話なら別ですが、実際の試行には様々な環境要因が影響します。練習のレベルが上がるに従って差のとらえ方も変わってきます。「最初は、一つの試行だけ考えて、目標に対して何%くらいのレベルに達しているかを測る。次には、何度か試行を行ったうちの何%くらいが満足できるレベルに達しているかを測る。さらには、異なる様々なシチュエーションの下で、何%くらい目標を達成できるかを測る。」という風に。

試行結果と目標が異なる場合、出力を変化させる必要があります。制御可能なもののうち何を変化させるかを見つけるのは一般的には難しいことです。よい指導者はそれを教えてくれるでしょう。変化させるものがわかれば、それをどの方向に、どれくらい変化させるべきかを探すことになります。方向は多くの場合直感的にわかりますが、ときには正反対だと勘違いしていることもあります。

【修正方法ー要素と方向がわかっている場合】変化させる量については、戦艦の大砲の撃ち方が参考になります。まずは遠くに、次は手前に、そして目標に。数式がはじめから分かっていな場合、離れた2点の情報を使って内挿する方が、近くの2点を使って外挿するより誤差が少なく効率がよいのです。

【修正方法ー要素と方向がわからない場合】何を変化させたらよいのか自分で探す場合、まずは要素を一つづつ変えて結果に与える影響を観察します。単独では変化させることのできない要素もあるので作業は複雑です。理論的な裏づけがない場合に有効なのは、摂動法だと思います。自分でここかなと思う場所を適当に選んで、そこを中心にいろんな要素をごくわずか変化させてみます。

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